平成29年6月1日より、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成29年3月29日厚生労働省令第29号)が施行されます。

その内容は、
1.健康診断において異常所見が見られた場合の医師等からの意見徴収
 医師等からの意見徴収の際、医師又は歯科医師から意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報(労働者の作業環境、労働時間、作業態様、作業負荷の状況、深夜業等の回数・時間数等)を求められたときは、速やかにこれを提供しなければならない、と追加されました。これは事業所の規模には関係なく求められます。

2.産業医の定期巡視の頻度
 産業医は少なくとも毎月1回、作業場等を巡視する必要がありますが、今回の改正により、産業医が事業者から毎月1回以上の情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、巡視の義務が「少なくとも2か月に1回」になりました。毎月1回以上必要な情報が提供されていなかった場合や、衛生管理者の巡視が週1回以上実施されない場合には、少なくとも月1回、産業医の巡視を行う必要があることとされています。
<情報のなかみ>
(1)衛生管理者が行う巡視の結果
(2)労働者の健康障害を防止し、または労働者の健康を保持するために必要な情報であって、衛生委員会または安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
以下の情報が考えられ、事業場の実情に応じて、適切に定める必要があること。
イ 労働安全衛生法第66条の9(面接指導の努力義務)に規定する健康への配慮が必要な労働者の氏名及びその労働時間数
ロ 新規に使用される予定の化学物質・設備名及びこれらに係る作業条件・業務内容
ハ 労働者の休業状況

3.時間外・休日労働が1か月あたり100時間を超えた労働者の情報提供
 1か月あたり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならない、という内容が新設されました。通達では100時間を超えた労働者がいなくても、いない旨の情報を産業医に対して提供することと言及しています。