令和4年10月以降の法令に対し、指針令和3年11月4日雇均発1104 第2号として改正された通達には、育児休業に関連した不利益取扱いの禁止(法第10条)の解説があります。

◎以下を行ったことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されています。
・育児休業申出等をしたこと(育児休業申出及び出生時育児休業申出)、育児休業をしたこと
・出生時育児休業中の就労可能日を申出なかった、または事業主の意に反する内容であったこと
・いったん申出た出生時育児休業中の就業可能日等を変更したこと又は当該申出を撤回したこと
・申し出た就労可能日への事業主提示の労働日に同意をしなかったこと
・同意後に全部又は一部を撤回したこと(出生時育児休業開始予定日以後においては、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合に限り撤回できる)

◎「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合においては、 当該行為は民事上無効と解されること。

◎解雇その他不利益な取扱いとなる行為の例示
イ 解雇すること。
ロ 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと(以下「雇止め」と いう。)。
ハ あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げる こと。
ニ 退職又はいわゆる正規雇用労働者をパートタイム労働者等のいわゆる非正規雇用 労働者とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
ホ 自宅待機を命ずること。
ヘ 労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の 制限、深夜業の制限又は所定労働時間の短縮措置等を適用すること。
ト 降格させること。
チ 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
リ 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
ヌ 不利益な配置の変更を行うこと。
ル 就業環境を害すること。

◎解雇その他不利益な取扱いとは、労働者が育児休業の申出又は取得をしたこととの間に因果関係がある行為であり、「因果関係がある」については、育児休業の申出又は取得をしたことを契機として不利益取扱いが行われた場合は、原則として育児休業の申出又は取得を したことを理由として不利益取扱いがなされたと解されるものであること。

◎「契機として」については、基本的に育児休業の申出又は取得をしたこ とと時間的に近接して当該不利益取扱いが行われたか否かをもって判断すること。

◎ただし以下の場合は除く
イ 業務上の必要があり不利益取扱いを行わざるを得ず、特段の事情が存在し、その取扱いによる影響を考慮してみても、法の趣旨に反しないと認められるとき。
ロ 何かしら有利な影響があり、かつ本人が同意している場合に、その有利な影響が不利な影響を上回り、事業主からの適切な説明があって、一般的な労働者であれば同意するような合理的理由が客観的に存在するとき