5日を超える年次有給休暇(以下、年休という)を計画的に付与する制度がある。この制度は、労基署を含む労働行政が取り組んでいる「年間総実労働時間の削減」の一環で、年次有給休暇の取得を促進させるものとして、注目されている。
現在、労働者1人平均の年休取得率は、48%をわずかに上回る程度である(平成15年、厚生労働省による調査)。労働基準法ではこれまで日数を増やすなどの改正がなされたにも関わらず、むしろ取得率は減少している。行政としては、未取得部分の年休を計画的に付与すれば、当然に取得率が向上するという思惑であろう。しかしこの制度にかける使用者側の期待は、少し違ったニュアンスがあると感じている。つまり、あらかじめ計画どおりに休ませておけば好きな時に年休を取得されることが減り、事業運営に影響が少ないとする意見だ。
本来、年休は労働者が指定した日に取らせるのが原則であるが、実際には許可制として「キミがいないと困るではないか」という所属長の直感的な判断により認めなかったという話も聞く。もちろんこれは、使用者に与えられている時季変更権とは認められない。時期変更権とは事業の正常な運営を妨げる事情があるときに例外的に認められるものであり、本当に代替要員の手配が困難だなどという事情が存在する必要があるし、日頃から通常可能な配慮をすべきともされているため、恒常的な人手不足は理由にならない。
年休の計画的付与の導入目的としては、取得率の向上でも計画的な取得でももちろんかまわないが、その運用の際には、年休は労働者の権利であるという認識がベースとなる。企業トップとしては、年休の許可により結果として阻止するような仕組みではなく、どう効率的に取得させるかという制度や、取得時の影響を極力減らせるような所属長へのマネジメント支援で、組織づくりをしたいものである。
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