労災事故が発生した場合には、「労働者死傷病報告書」を労基署に提出するとともに、労災にかかわる手続きが必要だ。しかし近年、いわゆる「労災かくし」が問題になっている。
「労働者死傷病報告」は労働安全衛生法で定められているもので、その報告のタイミングは休業日数で異なっている。4日以上の休業もしくは死亡事故の場合は遅滞なく、休業日数が4日に満たないときは、四半期分ごとに提出しなければならない。「労災かくし」とは、労災事故を隠蔽するために、この報告書を故意に提出しない、または虚偽の報告を行うことである。
では医療費などはどうするのだろうか。労災事故の場合は、労災保険により療養補償や休業補償などの保険給付が受けられるのだが、これらの「労災かくし」の事例では、労災保険ではない他の保険制度を用いたり、診療費の一定額を補填するなどしている。ただほとんどの場合、労災保険と同等な補填はできないため、被災労働者に犠牲を強いる結果となることは想像に難くない。
労基署はこういった「労災かくし」に対し、警告を発するなど司法処分を含めて対処している。平成15年には検察庁への送検件数が132件となっており、この5年間で増加傾向にある。特に建設業の下請会社には、労災事故の発覚により元請事業者からの受注条件である安全性が疑問とされて発注が停止されるという危機感があり、隠蔽してしまう一因ともされている。
また会社側の意図とは別に、労働者が業務上の事故を会社に報告せず健康保険を使って診療を受けても、やはり「労災かくし」である。このようなケースは、労災保険給付の時効にかかれば、その後悪化して休業や死亡に至った場合に、健康保険より手厚い労災給付を受けたいと思っても受けられない。
厚生労働省は2005年度、労働保険未加入事業所を強制的に加入させるよう対応するとのことである。労災についても今後、適正に手続きを行うことがますます求められるだろう。
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