「○○社長はいらっしゃいますか。労働基準監督署ですが、○月○日に伺います」などといきなり電話がかかってきたら、社内では何事かと騒然となるに違いない。
労基署が行う監督指導には、定期的なものと、労働者からの申告によるものがある。定期的なものといっても、あらかじめスケジュールがわかるわけでもなく、監督指導を受ける立場から見ると、やはり“いきなり”と感じるだろう。申告監督というのは労働者からの「こんな(違法な)ことがありました」という申告に基づいて行うもので、平成15年度の申告件数は全国で46,000件を超え、ここ数年は前年件数と比較して約5%から10%の伸び率で件数が増加している。
現在、労基署が特に重点的に取り組んでいるのがいわゆるサービス残業である。昨年度の監督指導により1企業で合計100万円以上の未払賃金を支払う結果になった企業は1千社を超え、合計額で239億円。対象労働者数で割ると、ひとりあたり12万円にもなる。違法となるのは悪質なものばかりではなく、違反がないと思っていても、対象となる時間外労働の捉え違い、労働時間を正確に把握できていなかったケースなども、サービス残業だとされてしまうこともある。是正勧告を受けたとしても、この際コミュニケーションの機会と捉え、よい解決策を相談するくらいのつもりで対応したい。
ちなみに厚生労働省による『平成16年度地方労働行政運営方針』には、労基署を含めた都道府県労働局の課題として、「日頃から地方公共団体や地域の住民、労使の意見に耳を傾け、地域の経済社会情勢や労働市場の状況を的確に把握するとともに、行政へのニーズを積極的にくみ取っていくことが必要」とされている。労基署は、一方方向の監督指導だけではなく、企業とコミュニケーションをとるという役割も期待されているのだ。
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