労基署といえば、どのようなイメージをもたれているだろうか。労基署は労基法の第97条に規定されている組織である。まず厚生労働省内に労働基準主管局があり、その下に47都道府県ごとの労働局および労働基準監督署がある。さらに、働く女性の労働問題を専門に扱う女性主管局長がある。ちなみに労働基準主管局の局長、都道府県労働局の局長および労働基準監督署の署長は、労働基準監督官(以後、監督官)の資格が必要だ。
日夜事業所の監督指導に奔走している労基署は全国にいくつあるのだろうか。厚生労働省のホームページを見ると、344署(内5箇所は支署)ある。国内どこでも会社があり、そこに働く人がいれば、当然労基法の適用となる。法律が適用されれば、その法令を遵守させるべく監督指導を行い、違反があれば取り締まるための機関が必要になる。だから、北は北海道から、南は沖縄の離島まで、全国各地に労基署が組織されている。
監督官の人数は、3千数百名程度いるという話をきいた。また全国には、事業所の数が630万ほどある。そのすべてに労働者がいて、労基法が適用されるとは限らないが、仮に監督官の人数を3千人とし、630万事業所を担当することになれば、一人当たりが受け持つ事業所数はなんと、2千百箇所という計算だ。これでは、細かい規定が多い労働法令の違反を、漏れなく取り締まることは、不可能だろう。労働に関する問題は、行政頼みでは、決して解決しない問題である。
昨年は企業不祥事の事件が多発し、コンプライアンスやCSRといった言葉が世間を賑わせた。企業を取り巻く利害関係者の眼はますます厳しくなり、企業には社会的な責任が強く求められている。労基署に指導されなければ、多少の労務問題は、放っておいてもよいだろうという時代ではなくなった。労使双方に、「法令は自ら守るべきもの」という積極的な対応が求められている。
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